女と詩/むらさき
つまり詩というものが
人類を語るためのものならば
骨髄の中に
血液の中に
どさくさに紛れて
流れているお猿さんを
見つけるためのものならば
女は詩を作り得ない
女は女であるから
人類にはなりえない
詩人が目指す
あちらの方を見れば
懐かしい原始の森の中で
キリストや仏陀や
ゼウスやアッラーなんかが
アリストテレスや
ピタゴラスや
ソクラテスや
ガリレオなんかが
切り株を囲んで
談話中だ
しかし
女の前に
そびえ立つのは
無数の月日が築き上げた
氷の山
壁のような
その冷たい透明な
塊の中で
子宮
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