球形の休憩/岡村明子
長いこと沈黙していた
アスファルトの隅で
地面のざらざらの下にある
本当の地面を思って
空の底には
まだ底がある
底の底は
地球の裏側の
空の底
夕暮れ
ノアの箱舟に
オリーブの葉を咥えてやってきた鳥が
本当はどこからきたのか
世界中が洪水になったとき
雲の上でたまたま
昼寝をしていただけだったりして
空は
どこまでも繋がっているのに
地面があるから
遠くが見えない
パチンコ球が散らばる
駐車場
本当の星は
銀玉より
はかなく
私たちの夜を覆う
ひんやりとした
球形の地の果てで
車止めのコンクリートに
腰をおろし
空より遠い
宇宙を眺める
小さな
ふたつの
目ん玉で
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