田舎道/落合朱美
ぽくぽくと砂埃の道を
踵の低い靴で歩く
道端にときおり現れる
柿の木の下で
風に吹かれて和みながら
寂れた雑貨店は
小さなオアシスのように見えた
冷蔵ケースのコーラの瓶の
くびれたウエストが
なぜか可笑しかった
畦道の向こうに
すこし朽ちた墓石たちが
寄り添っているのが
この村の縮図みたいで
笑みが零れた
父が生まれたこの村に
今年は私が一人で帰ってきた
行き交う人はみな顔見知りで
お帰りなさいと言ってくれる
時代遅れの優しさに
照れてしまって
ふと脇道を見遣れば
彼岸花が揺れていた
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