寓話 不可解な死 39/クリ
「はい、親方は仕事のできる人で信頼されていました。それに奥様思いの優しい方でした」
「3日も無断欠勤なんて絶対におかしいと…。電話を入れても留守電のままなんです」
「で、家に寄ってみたんです。チャイムを押してもどなたもいらっしゃらないようでしたが…」
「窓から、倒れている奥様が見えたんです。ガラスを割って中に、はい、緊急事態だと」
「奥様はうつ伏せでしたが、もう手遅れだと。この暑さですから、その、臭いが…」
「もしかしたら親方が奥様を…、そんなことはあり得ませんよね。いったいどうしてこんな…」
「あっ、心臓発作ですか。お気の毒に…。じゃあ親方は? 奥様を残していったい…」
「えっ、奥様じゃないっ? 本人? 何が本人なんですか? 独身?」
Kuri, Kipple : 2005.09.08
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