そのまま海/
石川和広
こどもみたいに
世界の底
天井がつきぬける
ように書きたいが
不自由な気持ち
気持ちとは無器用なものだから
なかなか
屈折率
もって
言葉はくねっていく
詩らしい詩はもういやだ
殺したい気持ちに
なったことは
最近ない
子どもの頃は
青ざめた
錆び色の残虐模様
かがやいて
とてもてんしんらんまんであった
美しい夜
虫が鳴いているあわれ
もっと
もっと
無器用に書きたい
そのままで
広い海
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