スキップ/大覚アキラ
 
スキップなんて 最低だ
オルガンにあわせて 旋廻する幼稚園児の渦の中で
5歳のぼくは つまらなそうに歩いていた

ハイげんきよくー アキラくんもホラ スキップ スキップー

美意識 と呼ぶにはあまりにも幼く
だがしかし 強靭な意志で 
ぼくは 頑なにスキップすることを拒否した

はーい みんなストップ ストップー

下手糞なオルガンのメロディが止まり
いつもはやさしい京子センセイが
笑っていない眼で ぼくを見る

アキラくんは どうしたのかなー スキップ できないのかなー

ぼくは首を左右に振る
できるに決まってんだろ スキップぐらい
できるけど やりたくな
[次のページ]
戻る   Point(5)