【 台風 】/
豊嶋祐匠
台風は
私たちを困らせる
川を切り
家を流す
ふらふらと
南の果てからやって来る
大きな目の台風は
私たちを悲しませる
山を崩し
命を覆う
憎らしくも
この手は届かない
台風の目が
もしも
私の頭上に現れたら
私は自分の
メガネをはずして
歪な青空に投げつける
お前に
私のメガネをくれてやる
だから
二度と
ふらふら迷わず
私の前に、現れるなと。
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