夜道/たかぼ
に
助けを求めたい気分になってくる
丁度そのころ遠くに町の灯りが
見える 何となくほっとする 止
まっているのではない あの灯り
を目指して進めばいいのだ そう
呟くとその町が目的地のような気
がしてくるから不思議だ 町へ続
く道に向かって本線を逸れる や
がて行き交う車もちらほら見える
と 不安な気持ちも収まっていく
この町を知っている と思う 見
えない紐で引っ張られるように複
雑な道順を辿っていく そして路
地の突き当たりに灯りの点いた一
軒の家を見る 君の家だ 君は自
然に笑いがこみ上げてくる 単に
帰宅しようとしていたのだ 一時
的な記憶喪失になっていただけな
のだ 君は心底ほっとする そし
てブレーキを踏む だが止まらな
い 君はパニックになる 家に向
かって車はそのままのスピードで
突き進み 通り抜ける 霧のよう
に通り抜けながら君は愛しい人た
ちの前に横たわる自分の姿を見る
そしてようやく行き先を思い出す
戻る 編 削 Point(2)