言霊/落合朱美
 


雨の夜
宙に惑うのは
報われなかった
言の葉の亡霊たち

人を傷つける為に生まれました
見下す為に生まれました
罵倒する為に
揶揄する為に

己に言い訳する為に生まれました
諂う為に
嘘をつく為に

我が身の持って生まれた罪障を嘆き
雨音に紛れて泣いている

そんな哀れな亡霊たちを
手に取って慈しみ
ふたたび生まれ変わらせる
彼等は優しい言霊となり
愛と勇気を語り継ぐだろう

それが私の仕事だと
ひとりの詩人が呟いた

その言霊は
永遠の光を放って
現在に未来に
生きつづけている






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