侵食/落合朱美
ぱさぱさと干からびて
色褪せてしまった
大学ノートを
赤い爪先で繰りながら
ため息ひとつ
セピア色と呼べば
聞こえはいいのだけど
少女じみた丸文字の
拙い言葉の羅列が苦くて
ため息またひとつ
しなければならない事
山と抱えているのに
思い出に侵されてゆくのは
現実逃避したいからで
ため息またまたひとつ
忘れたい過去だらけなのに
捨てられないものの数々
片付かない部屋に
いらだつ心持て余して
ため息・・・
増殖したみたいに
部屋のそこここに
居座り始めたため息に
侵食されるなにもかも
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