タップダンサーが うまれた/砂木
 

一音 一音が かすかに違う
すべて 二度ときこえない 
それでいて 連続した
この世界に うまれてはじめて の音 が
パタ パタ と おこるのだ。
力強く ないわけじゃなくて 踊ってないわけじゃなくて
タップするという行為は とても祈りとか捧げるとか
土着の産神の踊りのような
命が 形を持ちこの世に触れる ひとつひとつの音
それぞれの音 音の形はみえないけど 音という形

こんな出会いは ブーニンのショパン以来だ。
あの時も お風呂あがりに テレビをつけて ぼーとしてたら 
演奏が始まり ピアノの音が見える というような気がして
衝撃を受けたのであったが。

私は なんの素養もないので びっくりしただけかもしれないが
一音 一音 綺麗にだされるタップに 魅入ってしまった。
しかし 夜も遅かったため 名前もあらためず寝てしまった。
だけど 数日すぎても なんだか 心に残っている。
詩に といっても どう書いていいかわからない。
びっくりしたでは 褒め言葉にはならないかもしれない。
私の中に タップダンサーが うまれた夜であった。


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