無題/
石川
海には朽ちるということがない
からだのなかに
列車が走っているって
わけのわからないことを
あなたはいうけれど
誰もいない
きっとあふれだしている
ただそれだけ
あなたはそこにいて
ただそこにいて
みつからないものを
持ちかえろうとしている
空から落ちる
香りたつやわらかな
花びらの欠片のようなもの
潮風に吹かれて
そこに在る未来を待っている
終わることのない海を
抱えながら
遠い汽笛をきいている
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