いちどきり/こしごえ
 
嘘は下手
毎日の風景が輝いているので
胸がいっぱいで
食事は日に一度
それでも 落日のからだはやせもせず
うたなんかもうたっている
大空のもと突然 笑いだしたりして
 なにが可笑しいの?
 生きていることが苦しくって。
 生きることのほうが、勇気がいるらしいの。
 可笑しいね。
あのひとのすむそらは
いろいろと映る
いまという未来さえ
いまは無くて
清々しいからだが
無意味に意味をもって きらめいている
 呼吸(いき)なら植物にだってできるわね。

砕けた光が強すぎてくらむ
透けた肌を風がひそめく
囚われた空から零れおちた悲鳴を小鳥が食べた

近所の小鳥と喋ったりなんかする
たばこをすうしぐさをして
たばこはすわないの
という
嘘は下手
日がないちにち空をみつめている
わけではないけれど
それが 日常
 いのちはいちどきりね。
猫が鳴いた





個人サイト「As H System」掲載

戻る   Point(6)