夕暮れ/ki
 
白い決して真っ直ぐではない雲が
ビルを突き抜けて
赤いゆるゆるとした涙が

いつのまにか夕暮れ



人が叫ぶ

君のことが好きさ!                    なんて、言えるわけ、



鳥を飼う
目の前にいたそれは
ぴーともひーとも鳴かず夕暮れを背負って
というか夕暮れに埋もれていた
そいつから灰色のゆるゆるとした煙が昇って
ちょうど目に入って                           涙
半分焼き鳥だった                           塩味
まだ生きていなくちゃだめさ、
と僕はものすごい小さい声で言った
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