エピキュリアン/いわぼっけ
エピキュリアンの
幸福の吐息は甘美にきこえる
時には魅惑の声色で
「生の窮極は快楽」とほざく
魂の苦悩は
祈りによって救済されるべきか
つかの間の
陽光が薄れた後の翳りのように
闊達な血の巡りが潜まろうとも
ひとときの悦びの詩を
ささげてやれるのはおまえだよ
隣人の瞼が
決して開かれないのを知ったときのように
有縁の世間は四季の花々を
太古の薄闇から拾い集めてくる
あらゆる人智とその行為が
この世の象徴であるとはしても
形骸をなしたもの総てには
祝福が与えられてはいない
せめて
エピキュリアンの
真紅の薔薇を一輪
添えてやれ
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