ソプラノ/兎乃 しずる
 
私は高音を自在に出せるソプラノ歌手
時にはオペラのように声を膨らませて
時には愛をささやくようにしっとりと・・・
私は高音を歌い上げることのできる存在なのです

ある日、私はマスクをして歌えと言われました
私は高音を出すのですマスクをしていては声がこもってしまいます
「その声が必要なのだ」
その言葉を私は信頼して歌いました

じりじりと焦らすような歌声
今までにはない声に私は胸の高鳴りを感じました

私は高音を自在に出せるソプラノ歌手
今では大きく、しっとり、いやらしく、焦らすように
歌うことができるようになりました

今日の私はマスクを使って焦らすように歌います
明日の私は・・・みんなに捧げる歌をうたいます
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