見つからない妖精/
kw
妖精が見えるという
塗り薬を瞼に塗って
赤から黒に濁りゆく
暮れの森へ出かけた
不可視
青年の瞳が捉えたのは
影絵の集合
寂しい墨色の森
ざわざわざわ
木の間を流れる風が
葉を揺らし
幻聴誘う
妖精の足音として
塗り薬のビン底を叩き
かぶれるまで塗りたくる
不可視
青年は気づかない
踏み砕いた
薄く透明な羽に
あまりに小さくて
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