夏の葬列/大覚アキラ
 
のに

月曜日の砂浜にはウィンドサーフィンの若者の姿もない

おれは台風で剥がされた 海の家のトタン屋根の破片を指先でつまみあげて

波打ち際に小さな穴を掘って そいつを埋めてやった

たぶん今ごろ どこかの海辺でも 誰かが

おれと同じように あるいは違うやり方で 夏を葬っているのだ

そうやって毎年のように 繰り返しくりかえし 夏は看取られて逝くのだ

乾いた風に混ざって 口笛が聴こえたような 気がした







[グループ]
戻る   Point(4)