晩夏にて/
こしごえ
しずかにたたずむ ひとは
風の流れる さやかな笑みを
薄紅色の肌ですいこみ
未練なく放熱し
終りをうちあけて
やわらかに傾いた
音色の日差しにつつまれ
緑は青青と奇声を発しながら
内へとくぼみつつ
息吹は深く 受け継がれていき
上層の張りは ますます青くふくらみ清(す)んで
雲は高さへと
目の前を とおりすぎていった紋白蝶
忘れものは、ございませんこと
重い土の呼吸へと ほろびていく
約束を認め
歩きはじめる世界
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