時の津波/炭本 樹宏
 
 
とんがった帽子をかぶった 魔法使いはこの人生を 何色にも変える
テレビの映像は この世界の全てのように 僕達の前に立ちふさがる

緑の森の妖精は 何を思うだろう?感じるだろう?
 涙が流れなくなったのは いつからだろう?

 はりぼてで なんとか繋いできた 僕の人生
 皆が右を向けば 右を見て 知らぬ間に 自分を無くして

 この胸の情熱が忘れさられれば 通りすがりの人にさえ 挨拶もできなくなる

 忘れ去られて行く僕 忘れてぼやけた友達友達
 遠くでカラスが鳴いている

 薄らいで行く 遠ざかって行く
 一人の夜は不安でたまらなくなる 

 気ままに 過ごせるはずの 休日も
 明日の太陽が 幻覚のように瞼に映り 眠れなくする

 まるで自信のない 枯葉のような僕は
 時間の津波に さらわれそうになってるよ

  
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