愛おしい密葬/A道化
未だ硬い、既に確かな
夏でもない、秋でもない、果実で
深緑は
瀕死であることを理解している
見上げれば、ひとつの一秒が
高速で遠のいてゆく
わたしは、何に対しても連呼などせぬよう
前もって呼吸を圧搾する
見つめれば、幾つもの一秒が
高速で遠のいてゆく
未だ硬い、既に確かな
夏でもない、秋でもない果実の、生育の日取りを
誤りたい、生育の日取りを
誤りたい
きっと
深緑が正しく失われる間際、生まれる朱色に何かを伝えようとして
結局は何も伝わらないというひとつの一秒が、連呼され、百秒に成り
百秒が連呼されて千秒に成り、そうして、千
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