夏祭り/A道化
 





夏祭りの夜へと
手を引かれた私の
耳たぶ、薄く
汗の艶、熱く
提灯のように
風に赤らむことを
しっとり許された
夏祭りの夜に


石段の高みへ
鼓動と鼓動の、共鳴と
同じ歩幅で隠れたら
綿飴の溶けたばかりの
唇、甘く
頬、優しく
見つけ合ってしまった
石段の高みで


ああ
同じ沈黙を欲しがり
あの肺の、息を吐く旬には
この肺は、息を吸う旬でした
遠い灯りの飛び散った
浴衣の裾、その頼りなさに
ヨーヨーがはしゃぐ間私達は
夏の影響を与え合って





2002.7.13

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