ブランコ/こしごえ
 
もう
鋭いところまで、
来てしまっている。

人々は、
気付いているのであろうか。
虚空は、
妖しく、うねりながら明滅している。
あさっての老人は、
落葉(おちば)に手を合わせている。

空の流した血は、
青かったろうか
私の流した血は、
赤かったろうか
過去の流した血は、
重く現在にも流れている。

空耳ではない、
音楽の調べのほとりで、
白痴美のような雑音(ノイズ)を産み落す影。

ひとり
公園のブランコで
宙に遊ぶ





戻る   Point(16)