真夜中/プテラノドン
 
唇の端を赤くした車が止まる交差点で
平行するというより、円還していた
二つの車輪が―、つまり自転車が
ひとりでにゆらゆらと通過していくような
微かな摩擦熱で火がつくような真夜中に
ティーエイジ。その発音が下手くそなぼくらは
めっぽう迅い船で 海か 空か 
巨大で透明な道を過密的に前進する。
そして確信的な声を発する場所で、
真っ赤なブイをほうり投げる。
波間を漂い 流れ着き 手元に残る
羅針盤の頭部 カムチャッカの造船所 
男がはめていた舶来の金時計
遠く 遠い領域に 
偏平足で潜る熱い深海がある
そこに沈むからといって
眠るわけでもないぼくらは
もうすでに 短くなったろうそくの灯りを 
そのゆらめきを じっと見ている
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