季節/こしごえ
雨あがりの空ろな声は
流れる雲のきらめきか
雨に湿った
濃紫(こむらさき)の瞳がとなえる
つながりの腐蝕は
しっぽり燃える送り火で
季節を含む
風の滅びゆくさまを映す
ありのままの
まっしろな季節に
もっていかれなかった身体(からだ)は
すこし、うつむいて
胸をなぞってゆく指先に
伝う震えが
かすかにか細く
けれど確かさをもって移行していく
(残された身体)
青の欠片に
「サヨナラ」とちいさくうなずく
風がいう
心は季節とともに生れかわる
心ごと伸びやかに伸ばし
ゆく季節を見届けること
それが残された身体に
どんなに汚(けが)れていようとも
心に宿る一片のきらめきが
この季節とともに移ろい続けても良い と
新たな風が吹き
季節に透ける
真紅の瞳がとらえる
つながりの発生は
季節を含む
あなたが
きれいだ
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