ベリーちゃん/大覚アキラ
 
の村落にも届くほどだった

正午近くになって気温が上がり始めると
屍骸の腐乱は加速度的に進行し
見る見るうちに崩れて液状化していき
標本サンプルを採取するのが精一杯だったという

台風が熱帯低気圧に姿を変えたその日の夕方には
骨格を含めた屍骸のほぼ全てが液状化し
浜辺に打ち寄せる波に洗い流されてしまった

調査チームが持ち帰った僅かな標本サンプルも
彼らが研究室に着いた頃には
正確な分析調査が困難なほど変質してしまっており
これといった発見には至らなかったという
結局その大型生物の屍骸が何だったのか
分からないまま一連の出来事の幕は下ろされた

屍骸が放っていた
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