クリスマスの贈り物/服部 剛
ベッドの脇
ランプの灯(あかり)を落とした机の上
時計のついていないベルトと
髪を梳(と)かしたことのない櫛(くし)が
寄り添って置かれている
聖なる夜に贈り物をしようと
金の時計を売ったジムと
ブロンドの髪を売ったデラが
交換したクリスマスプレゼントは
全く役に立たなかったけれど
赤い包みを開いた時
21ドルでは計りえぬ愛情が
互いの胸に流れただろう
午前3時
枕元に靴下を置いていた頃の
夢見る寝顔のふたりを
天井から見守る
いたずらな神様が微笑して
赤い糸の結び目を
ほどけぬよう
光でみたしている
* O・ヘンリ「賢者の贈りもの」を参考に書きました。
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