墓標/竹節一二三
 
土に刺された
赤い下敷きのかけら
ゲルダが溶かした鏡の
破片のような柔らかな氷が
一度生きたはずのカイを殺してゆく

土の中に何を埋めたのだろう
蝉の屍骸か
(美しい薄羽、それから幾本かの細い足)
蝶の骸か
(長くしなやかに伸びた二本の触角)
それとも友のかけらか
(柔らかな指先に、甘そうな耳朶)
誰かが愛しげに作った塚が
他の誰かの花を迎えている

これは君の墓標
あがらなかったぬれたからだがこのしたにうまっている

あざみを引きちぎり
沙羅の葉をむしり
塚にささげて

これはわたしの墓標
きみにこがれたわたしがこのなかでうずくまっている
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