名前のない河口/−波眠−
 

168号線は

暴力的にでも隠したいらしい

川と海の境目を



等間隔でながれる

トンネルライトをカウントしながら

想い描く名前のない河口

対岸ものぞめないみなもに

ぷかぷかと浮かぶ

眼も口も耳もきけない

僕の分身


足を運ぶことなく

真っ先に記憶のザルから

ふるい落とされる

藻も恩も根付かない

とどこおった水底に


混ざるだろう紅い血

溶けるだろう透明な涙


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