詩について/大山猫
詩は、言ってみれば中途半端である。行の終わりに辿り着かない、或る意味では好い加減な、余白という無駄の多い何ものかである。
詩は、時として散文に対峙させられる。そして、散文とはすなわち物語の謂である。優れた散文には物語の密度がある。
とはいえ、それは、詩が物語を含まない、ということではないし、中途半端にしか含まないということでもない。そもそも、およそ物語を含まぬ言辞は、それが無意義であるにしても、言辞でない発話に過ぎぬ。従って、物語を含む含まぬは、詩にとっては決定的な問題ではない。
詩に於て問題なのは、詩の外に物語を感触し得ること、遂に有り得ない物語に、語らぬという仕方で触れさせること
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