ゲジ/
蒼木りん
蠢くというよりは
疾走する
ゲジ
無害なのだな
でも嫌いだ
何がって
その足の多さ
狙われたら
逃げ切れない速さ
お前が走る速度ほどに
私の背筋が凍る
うら若き乙女の頃
実家のタイル張り五右衛門風呂で
お前に遭遇
壁からいきなり風呂の中に身を投げてきたときは
爆弾のごとく飛び出たぜ
ゲジ
犬に吠えられる
怪しいやつ
猫に食われ
足だけの残骸
何かの役に立つのか
何食って生きてんだ
お前は
ゲジ
お前を詩に書いたのは
私だけだろう
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