ピエロ/みもる
炎天下の中
デパートの屋上で
僕はピエロになって働いている
何度も同じことを繰り返すだけの
つまらない芸でも子供たちは
大きな笑いと拍手をくれる
夕方になり人気が減ると
急に悲しくなってきて
一粒の涙がこぼれた
僕はいつまで
こんなことを
し続けなければならないのだろう
手からこぼれ落ちたボールが
ころころと誰もいない広場に転がる
そこには風に運ばれてきたように
君が立っていて
君の体の隙間からあふれだす
逆光に
僕の頬をつたう涙は
蒸発して雫模様のペイントに変わる
拾ってもらったボールを受け取ると
ボールは掌に沈んで丸
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