ピエロ/みもる
 
炎天下の中
デパートの屋上で
僕はピエロになって働いている

何度も同じことを繰り返すだけの
つまらない芸でも子供たちは
大きな笑いと拍手をくれる

夕方になり人気が減ると
急に悲しくなってきて

一粒の涙がこぼれた

僕はいつまで
こんなことを
し続けなければならないのだろう

手からこぼれ落ちたボールが
ころころと誰もいない広場に転がる

そこには風に運ばれてきたように
君が立っていて

君の体の隙間からあふれだす
逆光に

僕の頬をつたう涙は
蒸発して雫模様のペイントに変わる

拾ってもらったボールを受け取ると
ボールは掌に沈んで丸
[次のページ]
戻る   Point(4)