河豚(ふぐ)は飛ぶ/日和
置いてゆきました
なあ ふぐよ お前は
私に何を教えようとして じっとしていたのか
魚とて酸素がなければ死んでしまう
そんなことさえ知らなかった 私
知っていれば 知っていれば
ストローで懸命に二酸化炭素を吹き込んだかも知れないのに
次の日の朝 おじいと船に乗り込んだ時
河豚(ふぐ)は バケツの中には居ませんでした
河豚(ふぐ)は バケツを飛び出して 船の隅っこに転がっていました
私が 震える手で河豚(ふぐ)を抱え上げ
なんで死んでしまったのと おじいにそう訊くと
おじいは しばらくは黙って 黙って作業をしながら ようやっと
酸素
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