からむ/蒼木りん
いとしくて
乳房を
丁寧に磨いた
紅い薔薇のように
柔らかで
寂しげで
うちあけましょう
あなたに
逢いたいのです
汗をかいて
髪も
ほどよく人の匂いがします
今宵
わたしの香りは
いかがですか
満月が澄んだ空に
高くもなく低くもなく
白いシーツを浮ばせ
お金を払っても買えない夜
あなたそのものも
わたしの身体も
邪魔なものはぜんぶ
頭の芯まで酔わせて
寝てもらいましょう
どうせ
みんなもともと
狂っているんだから
不安の確信には
迷わずつっ込めばいい
砕けるから
擦りガラスに
蜘蛛の陰
静かに蠢いて
乳房に触れる唇
唇を確かめる指
指に絡む糸
抱かれながら
見ていたい
聴いていたい
夜の音
あなたの隠していた
喘ぎの現れ
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