ピアニシモ/銀猫
 

クラッシュアイスが
しゃらしゃらと音立て
ストローとしばしの戯れ



タイムカードから解放された
一本目のタバコは息継ぎ



白い灰皿に
二本目の吸い殻を押しつけるころ


僕は危うくきみを思いそうになる




(ちょっと今のはマズイ)


気を取り直して
少し薄まったアイスココアをすすり
用もない時計を見ては
また一呼吸



今となっては
きみとのキスなんて
吸い殻みたいに白黒灰で



ひとときの煙は
空いた向かいの椅子に
背景に溶けながら流れてく



夕刻の味気ない店の片隅に隠れ
実は起死回生を狙っている





もう少し、夏








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