見えない麦茶のこぼれたあと/蒼木りん
 
冷蔵庫の扉
麦茶のこぼれたあと
床まで

誰がやったのかと
責める気も
止める

麦茶は
君の渇いた喉を
満足させたかい
気分は
良くなったかい

こぼれたと
気づいたのなら
拭き取るがよい

なぜ
そうするか
考えてごらん


繰り返す
小さな文句は
無数の
不満や捻りを生み出して
この家の埃の数ほど
空中に浮遊する

見えないのに
降り積もる

風を起こさなければ
飛ばないけれど

少し止んで
頭を捻って
時を択んで
言葉は
本質を述べ
見たのに
目を逸らせば
それっきり

前にあるものだけしか
見えないうちは
叶わないことも多いよ
ゼリーの中
泳ぐように

君の後ろにあるもの
見えないもの
見えるように
少しは
為ってみようか



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