業/蒼木りん
 
日に焼けた顔が
農婦のようで
働き者でもないのに

わたしは
温室栽培ではなかったんだ
どこにでもある雑草

虫に食われたり
風にさらされたり
軒下であるだけまだマシ

鏡の前で
ペンで描く
眉毛と唇の輪郭

花は
少しでも美しく見えるように
もう何度も咲けないのだから

待つだけで
月を見て哀しむだけで
永く永く

君のためと
自分のためを
偽らないで

あなたはあなたの業
わたしの唇の紅は
わたしのため




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