ゼリー/待針夢子
 
となりで眠る人間の腕は
すんなりまっすぐなかたちをしていて
それが私の首にぴったりはまるのが
とてもとても好きだと思った

絞められたって、いい



どの歌も
かたちのないものが欲しいって
どの本も
それは何処にあるのって
どの映画も
あなたは持っていますかって
語りかけてきます

私が今信じられるのは
私の首の下にあるまっすぐな腕のかたちです

目に見えるものしか信じない
強がりなポーズだとわかっていながら
それでも
あやふやなものを
信じたり求めたりすることで
増えてしまうであろう傷の痛みを思って
足を竦ませている私です


それでも
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