逆回りの自小節/半知半能
視界がなんでか滲んでしまったからわからない
もう色彩の霞んだスケッチの輪郭も
自分の だと気付く
そこのそんなそれが
それが
じんわりと描かれたそれが滲む頃に
大きいしずくを落とす
ぼたぼたと
僕のものとは思えない 小さな掌で水をすくっては
無駄な時間を水に溶かして
その荒れた表皮をうるおすために
背景の無い空想の余白に描いていく
ありえない工程で
ありもしない造形を
僕はスケッチブックを指でなぞる
先行するイメージも無いので
今夜は時計を止めない
憤りももう喉を過ぎたから
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