過夏 掬いの水口/漁夫の利
 



月が月こぶ月の憑き月浸かれ点きし月の輪突刺す月の眼



酒と詩と歌う口からごあいさつ草の上にも眠れ夜の獏



探すのかさすらうのかはこの樹にもたどる葉脈花弁の夏日



採集の下月を喰らう夢詠みの漫ろ小唄は過日の陽樹



宵に酔う寄り添う影が黄泉のひと夜が明けるまで野を洗う風



人境を越えしきみの夕瀑を跨ぐことさえ蜩の声



沙羅なるをさすらえば今星近くここが世間と骨広げ臥す



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