影ふみのできないビルの谷間/−波眠−
 

両手に降りしきるパズル

ひとつひとつの破片にふれる隙も

与えてもらえない大手町の足枷

待ってよ、いまこの目で見たのに

落ちてしまえば影さえ残さぬプリズム



違う柄のピースすら混じりはじめた

みぞれ混じりのビルの谷間

いくら眉間の皺を寄せても

此処からじゃわからないよ

真ん中でいいの?

隅っこでいいの?

濃淡だけじゃ推し量れなかった良し悪しは

無念の作り笑いをのせて

再びレーンに押し流されていく

誰も手をのばさなかった寿司皿と一緒に



海はそんなに遠くないはずなのに

潮風を感じないビルの谷間では追えない影


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