泳げない八月十六日 (即興)/窪ワタル
 
いたいのですが
  どこもかしこも満杯なんだ
  道理で一年に3万人も捨てられたりしてるはずなわけだ


言葉で生きているんだとおもっていたのですが
どうやら言葉で出来ているらしいのです
腹がふくれないのが難点なのだけれど


  左腕を握る対になった骨は
  簡単には折れない

  謝ってばかりいるのに 嬉しい
  かあさんは痛かった筈だけど
  ずっと一緒だから
  そのうちに慣れるだろう


  運命の子 は 散乱していますよ
  生んでくれてありがとう
  なのだけれど


魚だったら よかったのかな

帰れないんだよね
鯨は ずるいよね

明日も晴れるかなあ
天気予報って意外と当たるよね

焼け跡にしては居心地はいい方なのかな


  記念日が悪いわけじゃないのに
  苛立ってばかりいます
  生まれにくい日なのですよ
  また一つ積んで
  崩れてもいて


まだ お終いにならないので
腹 減ったよ
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