花火/こしごえ
 
薬指で唇をふちどる
慣れるということはない
深々と 息を吸う
いっそ無心に吸う

わたしのごちそう
仰ぐ因子
風を口にふくむ
上昇する本能

ここは分解の森
わたしは湾曲した小さな発光体
伝染する伝導 熱

慣れるということはない
仄暗い青の証明

深く吐く
静か
空中に甦る

震える

 ヒタ
ヒタ
 ヒタ
ヒタ
 忍び夜

なにをなさっているのですか
そんなに放心している
あなたはこちら側それともあちら側
ほほえむだけで精いっぱい

ゆれる一輪の花パッ と咲いた
ごちそうさま とちいさく挨拶
ゆく夏の陽炎に身を寄せていく

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