シンディ/クリ
 
だけど
喫茶店でお茶とパンプキンパイをごちそうになった
店とは違い、彼はほとんど喋らなかった
でも偶然(今まで気づかなかったほうがおかしいけれど)
彼が結婚しているらしいと分かった
その夜、彼女は店を休んで部屋で酒を飲んだ
吐いたあと、便器にもたれてそのまま眠った

次の日、店に彼がやって来たけれど、一言も話さなかった
自分でもよく分からないまま同僚に絡んで荒れた
マスターが「今日は上がっていいよ」と気遣ってくれた
まだ体調が悪いんだからと、優しかった
着替えてドアを開け、タクシーを待った
ようやくつかまえた車が停車するのと同時に、彼が呼んだ
シンディ
慌ててタクシー
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