うたの掟/千波 一也
 

わたしは 生みの親だもの
おまえが憎いわけは ない

けれども わたしは 手を貸さない


さぁ

潔く 
心地良く
羽ばたいて ゆけ



誤解も あるだろう
嫌悪も あるだろう
けれども ときに 融合がある

誰かの鍵穴 に
ぴたり と はまることがある



おまえ が
ひとり で
おまえだけの ちから で
そっと開かれる扉が きっと ある



わたしは 此処で
じっと 耳を傾けていよう
おまえが 迎え入れられる瞬間に
じっと 耳を傾けていよう




わたしは 生みの親だもの
おまえが憎いわけは ない

けれども わたしは 手を貸さない





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