バーの悲しみ、とトリコロールの跡で/チャオ
 
12時、きっかり。門を閉める。
鍵を閉める。金庫を閉める。

薄暗闇のバーには、どんなお客の姿も見えない。
11時。すべての客は、バーテンダーを置いて帰っていった。

小さな敷地に店を構えた。
小さな門をつけて
小さな喜びを味わった。

12時、いつもと変わらない店じまいに、
いつもと変わらない肩のこりが気になる。

お客さんは喜んで帰っただろうか、と日報に書き込んでみる。
ミキシンググラスに、バースプーンを立てる。
からんと高い音がする。

硬い氷を冷凍庫から出したバーテンダー。
小さく砕いてやり、シェーカーに入れた。
スピリットを四種類。

クラッシュ
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