人が待つもの5/チャオ
ぎない。雨の上がった道。すっかり渇いたアスファルトの上、子供たちは遊びに出かける。
豊穣な土地。あまりに湿潤すぎる土地に、緑の葉ははびこる。小川の数は数えきることは出来ない。そこの土地には、花が咲き、果実が実る。
願いは天へと届かなかった。
勝ちたいのならば、勝つことだけを考えろ、といった長はもうこの国にはいない。まばゆい光とともに、願いは地上に降り注そいだ。いまさら、願いの真意を知ることは出来ない。
多くの苦しい諍いのうちにも温和と親切とを失わず、その内心の宝に触れさせずに経験を通り越すのだ。最も激しい戦闘中にも温和であり、悪人の間にあっても善良であり、戦いの最中にも平静でありたいものである。
いかなる美しい花も、いかなる美味なる果実も、困苦と忍耐によって始めてその根が養われるのである。私は斃れてはいけない。
きけ、わだつみのこえより
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