人が待つもの5/チャオ
 
夕立が起きて、大粒の雨が落ちた。願いは、天のまえで力尽きた。まばゆい光を放ち、轟音とともに地上に舞い戻る。

決意のない願いは、所詮天には届かない、と卑劣な長が威張っている。勝ちたいと願うなら、勝つことだけを考えればいい。
それから、恋人を失った人、友人を失った人、家族を失った人、それから、失った人たちは、卑劣な長へと、最後の願いを託す。

想像する。真昼の熱は、風を切って歩く肩に、ほんの少しの影響も与えることは出来ないと。今は、大粒の雨がまばゆい光とともに落ちている。
願う声にうなずいた長。武器を受け取る人々。愛の対象が消えたその空間、憎しみを埋めあわせる。

戦火は天空を避け、
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