定年/狸亭
 
あなたも五十すぎたら定年になる
ささやかれてから 今年でちょうど 四年
第二の職場 わたりに舟と観念
世間には 不景気の風 吹きはじめてる

まだ浅い春の 山にきて ふと見上げる     
季節はずれの凧が舞う 空に 諦念  
胸に めぐるおもいの 三十五年
すぎてしまえば あっけない メタフィジカル

身すぎ世すぎのためとはいえ いつのまにか
つとめ人根性がしみついて退化 
している感性が ほこらしきものを求め

うつりゆく世をみつめてみたりするけれど
鬱勃 平凡ないかりを胸に 勤め
十四行の言葉 ひねるのが限度

 (押韻定型詩の試み 16)



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