ノート(Hollow)/
木立 悟
はいない
涙を涙のとおりにひらいて
何度もとにもどしても
ひとりたりない
ひとりたりないのでした
生きなくてもいいのでした
それでも生きていたのでした
それは生きてきたのではなく
見える笑み 聞こえぬ笑み
見えぬ笑み 聞こえる笑み
そのときそのままの笑みに囲まれて
歩いているのでした
気がつくと
歩いているのでした
雨のなかを かたちが流れてしまっても
音は何度もひとりをひらき
ひとりをひとりにもどすのでした
[グループ]
戻る
編
削
Point
(0)